ネリネの花が咲く頃に

百合不倫相手と別れ、5年後の再会の約束までに自分の感情にケリをつけるまでのブログ。再会は果たされるのか。

迷妄

 家族仲は、良好。良好と言うより最上と言っても過言ではないかもしれない。公務員の父、パートタイマーの母は、私が家に居る時はほぼ確実と言って良い程に家にいてくれる。歳の離れた弟だって、昔は仲違いもあれど、今は仲良くやれていると思う。

 そんな私の子供の頃の夢は、素敵な大人になって、良い人と結婚して、子供を設けること。そして一軒家に住むことが夢だった。大人になれば、自然と顔も良くなって、頭も良くなって。まあ”エリート“と呼ばれる存在になれるかと思っていた。しかし今はどうだ。うまく社会生活にも馴染めず、この年でもパートタイマー。胸を張って言えるような特技も無ければ、これといった才能もない。

 まあそんな前置きはいい。今回述べていくのは、家族関係のあり方についてだ。全く問題のない、むしろ仲の良い家庭で育ってきた私だが、今現在不倫をしている。これは曲げようもない事実だ。何度も喧嘩と仲直りを繰り返し、結局は元の鞘へと戻る。戻って、しまうのだ。何度も何度も離れようと決心しても、それはうまくいかず、ただ不毛な時を、過ごし続けている。勿論自身がいかに間違った事をしているかなんて、私自身が一番自覚しているつもりだ。

 まさかこんな事になるなんて、と後悔しても遅い。終わりのない物語を初めてしまったのは、紛れもなく私自身であるのだから。

 不倫。それがいかに周囲の人間を傷つける事になるか。実際に私も、家族にまだ関係を続けていることは言えないでいる。それもそうだろう。パートタイマーで自立すらできていない私が、この家から放り出されたとして行くあてもなければ、居場所もない。言ってしまえば楽になるのは私だけだ。この家で暮らしている以上、それは隠さなければいけない事だろう。これはある種のマナーとも言えるのかもしれない。嘘は下手くそな私だけど、それはやり遂げるしかないのだ。

 私の話はこれくらいにしておこう。問題は不倫相手である彼女の家庭事情だ。まず家庭内の立場が、彼女と私では全く異なっている。彼女は家庭内で「親」として、また「妻」として生活している。その上子供はまだ義務教育の最中だ。その子は彼女が望んで産んだ子だ。対して私は、家庭内ではまだ「子供」である。両親は揃い、何不自由なく暮らしを送らせてもらっている。逆に言えば、私は私の両親が望んで産んだ子供だ。

 彼女は親という立場で、私は子供という立場で。双方とも経済的に家庭に依存している。しかし彼女は旦那と血の繋がりがある訳ではない。愛し合った二人が、婚姻関係を結び、そうして家庭を築き上げているのだ。

 ここまで話したが、現在私が何に頭を悩ませているかというと、彼女と旦那による夫婦生活だ。

 勿論夫婦である以上、それは至って当然の行為だ。間違っているのは私との関係。私と不貞行為を働いているということだ。

 だから私に焼き餅を妬く権利はない。ない、のに。どうしてこんなにも胸が苦しくなるのだろう。何度も必要な事だと言い聞かせても、気になってしまい心がずんと沈んでしまう。

 家庭、それを保つのに必要な行為。彼女の家庭を壊したくない、とも思うのに。

 この感情ばかりは、どうにもなってはくれないのだ。